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β-カロテンがビタミンAに!

β-カロテン(ベータ-カロテン)はニンジンやカボチなどの緑黄色野菜に多く含まれる黄橙色の色素で、カロテノイドの一種です。
かつては、カロテノイドといえばビタミンAに変換されることではじめて人体に有用な影響を及ぼすと考えられていたため、ビタミンAに変換されやすいβ-カロテンがカロテノイドの代表的な存在でした。
近年、人体における抗酸化作用の重要性が認識されることで、抗酸化力の強いリコピンやルテイン、アスタキサンチンといったカロテノイドが注目されるようになりましたが、それでもβ-カロテンにも当然抗酸化作用がありますし、重要な成分であることには変わりありません。
ちなみに、なぜβ(ベータ)なのかというと、実はほかにもα-カロテン(アルファ-カロテン)、γ-カロテン(ガンマ-カロテン)、δ-カロテン(デルタ-カロテン)…、とカロテンには数種類あるのですが、緑黄色野菜や果物などに多く存在し、最もビタミンAに変換されやすいβ-カロテンがカロテンの代名詞となっています。


β-カロテンは必要量だけビタミンAに変わる

β-カロテンの化学構造式はちょうど真ん中で左右対称の形となっていています。
口から摂取したβ-カロテンは人間の小腸で酵素によって代謝を受けて、真ん中で2つに分裂し、1つのβ-カロテンから2つのビタミンAに分解されます。

β-カロテン(ベータカロテン)


このようにビタミンAに変換されるものを、「〜の前」という意味のプロを付けてプロビタミンA(ビタミンAの前駆体 )といいます。


ビタミンAを摂取するときは、ビタミンAそのものを摂取するよりβ-カロテンから摂取するほうがより安全です。
といのは、ビタミンAは水に溶けずアブラに溶けやすい性質の脂溶性ビタミンであるため、体外に排泄されにくく、過剰摂取で体内に蓄積してしまうためです。
ビタミンAの過剰摂取は急性中毒症や頭痛、疲労感や吐き気、睡眠障害、食欲不振、皮膚の荒れなどを引き起こす場合があります。
特に妊娠中の女性はビタミンA過剰摂取により胎児の奇形発生などの危険度が高まるため注意が必要です。
β-カロテンは体にとって必要な量だけビタミンAに変換されて、体内にビタミンAが十分足りているときには、ビタミンAに変換されずそのままの形で体内に蓄積されるという特徴があります。
これにより、β-カロテンをたくさん摂取してもビタミンA過剰症になることはありませんので、量を気にせず安心して摂取できるという訳です。