活性酸素は細胞を傷つけて人体にとっては有害な物質ですが、酸素を利用してエネルギーを生産する私たちの体内では必ず発生してしまいます。
そして、私たちの体には発生した活性酸素を無害な物質にするために、抗酸化酵素が備わっています。
この活性酸素がどのように発生し、抗酸化酵素がどのように働いているのか?という一連の流れをみてみましょう。
エネルギーは細胞中のミトコンドリアというところで、食事で摂取した糖質を原料として生成されるのですが、酸素はそのときに糖質から電子を奪ってスーパーオキサイドという活性酸素になります。
このスーパーオキサイドを除去してくれるのがSOD(スーパーオキサイドディムスターゼ)とい抗酸化酵素です。
「ディムスターゼ」は「除去酵素」という意味ですので、スーパーオキサイドを除去してくれる酵素ということですね。
このSODによるスーパーオキサイドの抗酸化反応で、過酸化水素と酸素が生成します。
ただし、この生成物のうち一方の酸素は無害ですが、もう一方の過酸化水素は活性酸素なのです。
スーパーオキサイドという活性酸素を除去しても、また過酸化水素という活性酸素が発生してしまうのです。
過酸化水素は細胞を包み込む細胞膜や核を包む核膜などの生体膜を自由に通り抜けすることができ、寿命も長いという特徴がある厄介な活性酸素です。
そして、鉄などの金属イオンと出会うとヒドロキシル・ラジカルという活性酸素に変身するのです。
過酸化水素に対して今度は、カタラーゼやグルタチオン・ペルオキシダーゼという抗酸化酵素が無害な水と酸素にしてくれます。
この一連の抗酸化酵素による抗酸化反応で、スーパーオキサイドや過酸化水素といった活性酸素をうまく除去できればよいのですが、きちんと除去できないと活性酸素の中で最も酸化力の強いヒドロキシル・ラジカルが発生します。
実は私たちの体内で起こる酸化障害に直接関わるのは、ほとんどがこのヒドロキシル・ラジカルという活性酸素によるものなのです。
過酸化水素が生体膜を通り抜けて、そこでヒドロキシル・ラジカルに変身すると、遺伝子情報を司るDNAがたちまち酸化されるという事態がおこるのです。
さらに悪いことに、私たちの体にはこのヒドロキシル・ラジカルを除去する抗酸化酵素が存在しないのです。
ではヒドロキシラジカルに対して私たちは無抵抗なのでしょうか?
実は抗酸化酵素の手助けをしてくれる物質があります。
それが抗酸化物質です。
抗酸化物質には尿酸、ビタミンEやビタミンC、ビタミンA、フラボノイド、ポリフェノールなどがあります。
それぞれ作用も異なり、体内で合成されるものもあれば、体内で合成されずに食べ物から摂取したければならないものもあります。
ストレスが発生しやすい現代社会において、酸化力の強いヒドロキシル・ラジカルをはじめとする活性酸素に対抗するには、より多くの抗酸化物質を食べ物から積極的に取り入れる必要があるのです。