コレステロールの値が高いと健康に良くないと一般的にいわれています。
コレステロールが血管に付着し、血管がが詰まって動脈硬化になってしまうためです。
さらに、最近では健康志向の高まりから健康についての情報も増え、コレステロールには善玉コレステロールと悪玉コレステロールがあって、悪玉コレステロールが増えることが動脈硬化の原因だとういことが常識になっています。
しかし、ここ十数年の研究の結果、悪玉コレステロールそのものでは動脈硬化を引き起こす原因にはならないことがわかってきました。
悪者は活性酸素によって酸化された変性悪玉コレステロールなのです。
「悪玉」という名前が付いていることから悪玉コレステロールは悪い働きしかしていないように思われがちです。
しかし、悪玉コレステロールは本来、細胞の周りを取り囲んでいる細胞膜の原料であるコレステロールを各細胞に運ぶという、生命維持のためになくてはならない大切な働きをしています。
その悪玉コレステロールが活性酸素のよって酸化されて、変性悪玉コレステロールになると、もう本来の働きができなくなってしまいます。
変性悪玉コレステロールはもう私たちの体にとって不用物でしかありません。
そこで不用物となった変性悪玉コレステロールを処理するために、マクロファージという白血球の一種が現れます。
マクロファージは体内に侵入した病原菌や異物、役目を終えた細胞の残骸などを食べて処理してくれる白血球なのですが、変性悪玉コレステロールもゴミと見なして食べて処分します。
変性悪玉コレステロールをたくさん食べたマクロファージは、役目を終えると泡沫細胞という細胞に変身してしまうのですが、この泡沫細胞が動脈の壁に沈着していきます。
泡沫細胞は脂肪分であるコレステロールをたくさん食べているので、ドロドロの状態で、これが蓄積していくと粥(かゆ)状の隆起(=プラーク)ができて動脈硬化がおこります。
このような動脈硬化を、粥状のことをアテロームといいますので、アテローム性動脈硬化といいます。
さらにこのアテローム性プラークが破れて血栓ができ、細い血管に詰まると、それが心臓で起こると心筋梗塞、脳で起こると脳梗塞になるのです。
このように、動脈硬化の原因は、悪玉コレステロールではなくて、活性酸素によって酸化された変性悪玉コレステロールなのです。
悪玉コレステロールを増えすぎると、変性悪玉コレステロールになる確率も増えるので、悪玉コレステロールを増やしすぎないように注意することも大事ですが、それ以前に酸化の原因となる活性酸素の発生を減らすために抗酸化することが大事です。