ビタミンEは抗酸化物質として非常に重要な物質です。
というのは、ビタミンEがアブラに溶ける性質を持つ脂溶性の抗酸化物質だからです。
ではなぜ脂溶性抗酸化物質は重要なのでしょうか?
私たちの体は約60兆個の細胞が集まってできている訳ですが、私たちの体は正常に機能するためには当然各細胞が正常に働いていなければなりません。
細胞が正常に働かなくなると、それがさまざまな病気の原因になるのです。
そのため、私たち人間の細胞は外界からの異物や毒素の侵入を防ぐために、外側は細胞膜という膜で覆われています。
この細胞膜の主成分はリン脂質と呼ばれるもので、脂質という文字からもわかるようにアブラなのです。
皆さんご存じのように油と水は混じり合いませんので、水や水に溶ける性質を持つ水溶性物質はこの細胞膜を通過することはできません。
細胞にとって必要な物質は、細胞膜の特定の通路からしか入ってこれないようにして異物から守っているのです。
ところで、この細胞膜を構成しているリン脂質のアブラ部分は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸という2つの脂肪酸なのですが、このうち不飽和脂肪酸は活性酸素にやられやすいのです。
活性酸素によって電子を奪われて酸化した不飽和脂肪酸は電子が足りなくなるて不安定な状態になり、この状態を脂肪酸ラジカルといいます。
脂肪酸ラジカルは、安定な状態に戻ろうとするために、ほかの不飽和脂肪酸から電子を奪いとってしまいます。
さらに、電子を奪われた不飽和脂肪酸はまた別の不飽和脂肪酸から電子を奪うという風に連鎖反応が起こります。
これをフリーラジカルの連鎖反応といい、細胞膜が次々に酸化されてしまうのです。
細胞膜が次々に酸化された細胞はもう正常な働きをすることができなくなってしまう訳です。
このフリーラジカルの連鎖反応を止めてくれるのはビタミンEなのです。
最初に申し上げたように、ビタミンEはアブラに溶ける性質を持つ脂溶性抗酸化物質です。
ですから、細胞膜の主成分であるリン脂質になじむことができます。
そして、不飽和脂肪酸の間に挟まって身代わりに酸化されてくれるのです。
つまり、ビタミンEがラジカル連鎖反応を途中でストップしてくれるということです。
このように、ビタミンEは細胞の酸化を防いでくれるとても大事な抗酸化物質なのです。
また、コレステロールもアブラでできています。
世間一般的には悪玉コレステロールが動脈硬化の原因だと思われていますが、厳密に言えばそうではありません。
正しくは、活性酸素によって酸化された変性悪玉コレステロールが動脈硬化の原因となります。
悪玉コレステロールが酸化されて変性悪玉コレステロールにならないためにも、脂溶性のビタミンEは活躍しているのです。
ビタミンEは、植物油やアーモンドなどナッツ類に多く含まれていますが、普段食べる機会が少ないものが多く、量的に取れにくいため、ビタミンEを配合したサプリメントなどで補うことも必要かと思われます。